請願第5号
(令和6年)
「所得税法第56条の廃止」の意見書を求める請願書
趣旨
「所得税法第56条」を廃止するよう国や政府関係機関に意見書を上げて下さい。
地域経済の担い手である中小業者の営業は、家族全体の労働によって支えられています。
しかし、日本の税制は家族従業者の働き分(自家労賃)について、封建的な家族制度の下に作られた所得税法第56条を戦後そのまま残し「事業主と生計を一にする配偶者とその他の親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文趣旨)により必要経費として認めていません。
家族従業者の働き分は事業主の所得となり、配偶者86万円、配偶者以外の家族50万円が事業主の所得から控除されるのみで、1日何時間働いても労働した本人の労働の対価とは法律上認められていません。1日8時間働いた時の控除額は最低賃金の半分以下です。労働の事実を労働と認めないことが、社会保障や行政手続きなどの面で弊害を生じさせ、家族従業者の人権を大きく侵害しています。
青色申告にすれば給料を経費にできるという所得税法第57条は、税務署長への届け出・承認と記帳義務の条件付きで、申告の仕方で納税者を差別するものです。2014年には、すべての中小業者に記帳が義務化されており、所得税法第57条による差別は認められません。所得の恣意的な配分は、青色申告でも法人でも意図すれば可能であり、労働の実態があるかどうかは申告の仕方いかんでは確認できず、労働の事実を労働として法律的に認めることが所得税法第56条の廃止につながります。
所得税法第56条は廃止すべきと、全国で572の自治体(2024年6月25日)が国に意見書を上げています。
また、家族従業者の8割が女性であることから、国連の女性差別撤廃委員会からも「家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを検討することを求める」勧告が2016年に日本政府に出されています。世界の主要国では家族従業者の人格・人権、労働を正当に評価し、その働き分を必要経費に認めています。
「草加市くらしを支えあう男女共同参画社会づくり条例(平成16年10月1日施行)」にも反しています。条例には、男は仕事、女は家庭というような性別により固定された役割分担の意識やそうした意識に基づいた社会的な慣行は依然として強く残っており、個人の生き方の自由な選択を妨げる原因となっている。深刻な人権問題として早急に根絶させなければならない。
個人としての尊厳を尊重し、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別的取り扱いを受けないようにします。と定められています。
政府は長年にわたって研究・検討を答弁していますが、いまだ実現していません。
家族従業者が「法の下の平等」により、一人の人間として人格、人権が尊重されるよう所得税法第56条を早急に廃止するよう国や政府関係機関に働きかけてください。
地方自治法第124条の規定により、上記のとおり請願書を提出します。