議第1号 中高年のひきこもりに対する実効性ある支援と対策を求める意見書
飯塚恭代
芝野勝利
井手大喜
佐藤憲和
菊地慶太
従来、ひきこもりは主として若年・青年層の課題としてイメージされてきた。しかし最近では、就職氷河期世代も含め、中高年層に及ぶ大きな社会問題としてクローズアップされてきている。
政府が中高年層を対象に初めて実施した全国規模の調査が昨年3月に公表されたが、40〜64歳のひきこもりが全国で約61万人に上るという推計は社会に大きな衝撃を与えた。ひきこもり期間の長期化や高齢化により、高齢者の親とともに社会的に孤立するケースも少なくない。
政府としては、これまで都道府県・政令市への「ひきこもり地域支援センター」の設置や「ひきこもりサポーター養成研修・派遣事業」を行ってきたが、今後は、より身近な場所での相談支援の実施や社会参加の場の充実など、就職氷河期世代も含めた中高年のひきこもりに対して、これまで以上に実効性ある支援と対策を講じるべきである。
よって政府においては、中高年のひきこもりは、個々人やその家族だけの問題ではなく、社会全体で受けとめるべき大変重要な課題と捉え、次の事項について早急に取り組むよう強く求めるものである。
1 より身近な場所での相談支援を行うため、自立相談支援機関の窓口にアウトリーチ支 援員を配置し、同行相談や信頼関係の構築といった対本人型のアウトリーチ支援を実施 すること。また、自立相談支援の機能強化に向けたアウトリーチ等を行うための経費に ついては、新たな財政支援の仕組みを創設すること
2 中高年のひきこもりにある者に適した支援の充実を図るため、市区町村による「ひき こもりサポート事業」のさらなる強化を図ること。具体的には、中高年が参加しやすく なるような居場所づくりやボランティア活動など就労に限らない多様な社会参加の場の 確保、さらには家族に対する相談や講習会などの取り組みを促進すること
3 「8050問題」など世帯の複合的なニーズやライフステージの変化に柔軟に対応で きるよう、「断らない相談支援」や「伴走型支援」など、市区町村がこれまでの制度の 枠を超えて包括的に支援することができる新たな仕組みを構築すること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和2年3月18日
埼玉県草加市議会
内閣総理大臣 様
財務大臣 様
厚生労働大臣 様